着物を再生する
『着ノベーション』
タンスに眠っている”良ききもの”を着られる状態に再生する。
店舗や百貨店、ショッピングセンターで着物の買取をさせて頂いています。
1週間で50~100組のお客様が、着物の処分・お売りに来られます。
その時気付いた事です。
しつけの付いた新品
「しつけが付いた新品」って言葉を使われる方が、非常に多いです。
「いつくらいに購入されたものですか?」と質問すると、
「私が嫁に持って来る時に、つくってもらったもの」その方60~70代位の女性です。
見当が付くのが、25歳くらいで結婚されたとして、35~45年くらい前のものになります。
私はお客様と話すときに、例え話で「家」と「車」を出します。
- 建築して40年。一度も住んでいないから”新築”なの。
- 20年前に買った車。一度も乗っていない”新車”なの。
これ、通用しないですよね。
昭和時から平成の初期くらいまでは、結婚するときに着物一式を揃えて、お嫁に来られるのが一般的な習慣でした。
ただ、その年代の方が持ってきた来られたきものを着てるかというと、ほとんどの方が着られていないのが現実です。
桐の箪笥にしまってある
これも良く耳にする言葉です。
私がこの言葉を言われる人には、「虫干しや、風通ししていますか?」
ほとんどの方が NO です。
桐の箪笥に入れておけば、大丈夫。そう考える方が本当に多いです。
たとう紙を替えない。風通しをしない。
これも「家」や「車」で例えてお話します。
- どんな良い家でも、窓も開けない、掃除もしない。傷みますよね?
- どんな高級車でも、洗車やメンテナンス、しますよね?
「家」や「車」で例えると皆さん理解しやすく聞いていただけます。
着物や帯も一緒なんです。
経年劣化
着物や帯は、ぱっと見た感じは何十年前に作られた時のままですよね。
でも、確実に経年劣化しています。
きものだけに限らず、大半のものは経年劣化はあります。
昭和時代につくられたきものの場合、胴裏が黄色くなっています
これは変色というより、絹糸本来の色に戻っていくものです。
技術的に変色(色戻り)しない状態では無かったです。
着物本体より、「縫い糸」が弱ってきます。
お母さんや、お祖母さんのきものを着られたときに、ビリっってした経験ありませんか?
新しい着物を解く時、和裁の縫い糸は、すーっと抜けてくれます。
古くなった着物は、縫い糸を抜くと、切れることが多いです。
これは、良いもの、手の良い縫子さんが縫ったもの、では無く、ものの経年劣化なんんです。
縫い直し
「着物は一生もの」そんな言葉を聞かれた事があると思います。普段から着物を着られていた時代の人は、汚れたら洗い張り*1をして、縫い直して着られていました。
これも「家」や「車」で例えます。
- 手入れをしている家と、ほったらかしの家。
- こまめにメンテナンスをしてる車と、整備しない車
誰が考えても、どちらが長持ちなのかはわかりますよね。
毎日着物を着ていたた時代でも、手入れをきちんとしていたから、長持ちしたんですね。
- しょっちゅう着ないから
これも良く耳にします。
しょっちゅう着ないから手入れしない。
反対ですね。
よく着られている方の着物は、着ることで風通しされています。
着られない方の着物は、風が通りません。
以前は現代のように、リサイクル、リユース着物は普通に無かった時代、着物は高いお金を出さなければ、購入出来ませんでした。
30万円の着物は、さほど高級品では無かった時代。お母さんや、お祖母さんが頑張って作ってくれた着物ですよね。
- 着物は売る時に、二足三文になる。
いつも思います。いつも返答します。
「着物以外で、二足三文にならない物ありますか?」
着物の買取時、いつ頃に、いくらくらいで購入されたものかは、だいたい予想が出来ます。
大島紬。昭和時代の大島紬。当店ではだいたい3,300円で販売しています。
「昔は高かったのに。30万円くらいした」
それを見て、普通に言われます。
「これリサイクル品なんですよ。新品でしたら今でも高いですよ」
着物っていつまでも同じ状態で、値段が付くと思われている方が本当に多いです。
- 20000万円で建てた50年の家
- 20年前の1,000万円の高級車
大きな話ではなく、身近にあるものも、普通に二束三文になります。
これまでマイナス的な事を述べましたが、これはあくまでも手入れをしていない着物の話です。
- 最強のSDGS
昨今、SDGSという言葉が普通に言われる時代です。
着物は最強の”SDGS”の物だと思いませんか?
世界を見ても絹製品は高級品と言われます。